教えて!認知症予防

スポーツ万能な人のことを「運動神経がいい人だ」なんて言いますよね。ところが、医学的にいうとこの表現はあり得ないのです。なぜなら、運動オンチの人もスポーツ万能の人も、みんな運動神経は同じものだからです。この運動神経というものは鍛えて太くなるものでもありませんし、生まれつき特別に発達しているものでもありません。ですから、スポーツ選手は特別な運動神経を持っているわけではないのです。では、スポーツ選手とあなたの運動能力に差があるのはなぜでしょう? 筋肉の発達は大きな要素ですが、それ以上に運動能力に深く関係があるのは、実は小脳の中の記憶なのです。たとえば、長い距離を泳ぐための練習を繰り返したとします。最初は5メートルも泳げなかったとしても、練習を繰り返していくと、次第に長い距離を泳げるようになっていきますよね。これは練習を繰り返すことで、小脳の中に筋肉をもっとも効率よく動かせる回路が作り出されたからなのです。訓練というのは、何度も何度も練習することによって「どの筋肉を、どの程度動かせば長い距離を泳げるのか」といったことを試行錯誤し、小脳の中に最適な動きをするための回路をつくっていく作業のことなのです。ですから、訓練を繰り返し、小脳にその情報を叩き込むことができれば、誰だって運動能力を向上させることができる、というわけです。